
ハードなトレーニングを行うスポーツ選手に多いシンスプリント。もしかしたら、あなたもシンスプリントを患った経験があるかもしれません。
シンスプリントになってしまうと足を長期間休める必要があるためトレーニングが遅れてしまいます。スポーツ選手にとってトレーニング不足は致命的ですよね。そこで大切なのは、普段の練習からシンスプリントの発症や再発の予防を心がけること。
そのために、まずできることは自分に合った靴を選ぶことです。
そこで、本日はシンスプリントになりやすい靴の特徴や、予防や再発防止に役立つ靴のポイントと選び方をご紹介します。
(画像:tableatny)
1.まずはシンスプリントになりやすい靴を知ろう
足に合わない靴を履いて練習を行うことがシンスプリントの代表的な原因と言われています。そこで、まずは
- シンスプリントになりやすい靴の特徴
- シンスプリントの原因
- なぜシンスプリントになりやすい靴がなぜダメなのか?
をしっかりと抑えておきましょう。
シンスプリントになりやすい靴の9つの特徴
以下のような靴はシンスプリントになりやすいものです。今あなたが履いている靴は大丈夫かどうかチェックしましょう。
- クッション性のある、反発の高い靴
- 靴底の柔らかい靴
- かかとが分厚く、必要以上に高さがある靴
- かかとにまったく高さがないペタンコの靴
- 土踏まずの膨らんでいる靴
- 足先の幅が狭い靴
- サイズが大きい靴
- 重い靴
- 引っ掻きの強すぎるスパイクシューズ
もし、該当するような靴を履いていたら買い替えることをオススメします。
なぜ、このような靴はシンスプリントになりやすいのでしょうか?それを理解するためには、シンスプリントの原因を知ることが大事です。
靴選びの前に知っておきたいシンスプリントの原因
シンスプリントは「すねの骨の内側または外側」が痛む症状ですが、すねの周りには「ヒラメ筋」「腓腹筋」「前脛骨筋」などさまざまな筋肉が付着(筋肉が骨に付いている)しています。
例えば、「ヒラメ筋」は、走ったり、歩いたり、ジャンプをする時によく使う筋肉です。その動作をするたびに強くぎゅ!ぎゅ!と緊張をして、すねの骨膜(骨膜とは、骨をおおっている膜)を引っ張ります。
この緊張が強く起こり、引っ張り続ける状態が続くと、引っ張られている骨膜が耐えきれずに炎症が起き、痛みが起きます。これがシンスプリントになる本当の原因です。
難しい説明になったが、「シンスプリントの原因は硬くなった筋肉」だと理解していただければOKです。
さらに詳しく原因について知りたい方は「シンスプリントとは?|シンスプリントを引き起こす6つの原因」の(シンスプリントの痛みを起こす筋肉を硬くする6つの要因 )をご覧ください。シンスプリントの原因を正しく理解した上で靴を選んでいきましょう。
(画像:http://kodomoseikei.com/home/archives/2006/12/post_228.html)
シンスプリントと靴の9つの関係性
実は、最初にチェックしていただいた「9つのチェック項目」は、足の筋肉に負担をかけやすい靴であり、筋肉を硬くしてしまう可能性があります。
なぜそれらの靴は、「筋肉を硬くしてしまう」のでしょうか?
とても大切なことなので正しく理解しておきましょう。
1.クッション性のある、反発の高い靴は足の動きを不自然にしてしまう
クッション性の硬い靴は「衝撃」を吸収し、足への負担を軽くする事が目的とされています。
しかし、地面からの衝撃がなければ、人間はうまく「歩く事」も、「走る事」も「ジャンプする事」もできません。衝撃の流れを「かかと」でストップさせてしまうと、足の動きがぎこちなくなり、それを補おうとする事で、足の筋肉が硬くなります。
2.靴底の柔らかい靴は足のバランスが崩れやすい
例えば、「砂浜の上」を想像してみてください。「普通の地面」に比べて足元が柔らかいので、バランスが崩れやすく、体勢を保とうとする事で、足に余計な力が入ります。「靴底の柔らかい靴」にも同じことが考えられ、足を疲れやすくします。
3.かかとが分厚く、必要以上に高さがある靴は姿勢を崩しやすい
かかとがある靴は、坂道を下るような姿勢になり、体の重心が後ろにずれることで、立つことのバランスが崩れやすくなります。結果、バランスをとろうと足に力が入り、筋肉を硬くしてしまいます。
4.かかとに高さがない、ペタンコの靴は衝撃がひらめ筋にかかる
かかとにかかる衝撃は、「吸収」するのではなく、「足先に逃がしてあげる」ことで、「歩く」「走る」動きがスムーズになり、足への負担が少なくなります。かかとがペタンコの靴は、「衝撃」を足先へ逃がすことが難しいため、足に負担がかかります。
5.土踏まずが膨らんでいる靴は土踏まずが衰えていく
「ギブス」をイメージしてみてください。ギブスはケガをしている部位のサポートに使われますが、長い間つけているとその部位が弱くなってしまいますよね。それと同じで、土踏まずをサポートし続けると、土踏まずのアーチは衰えてしまいます。土踏まずは「サポートする」のではなく、正しく使って「鍛える」事が大切です。
6.指先が狭い靴は力が入りにくくなり、バランスが保てなくなる
足先の幅がギュッと狭い靴は、上手く足に力が入らないので、余計な力をいれるようになり、足に負担がかかります。
7.サイズが大きい靴は足が安定しないので、余計な力が入る
サイズが大きい靴は、靴の中で足が安定しないので、バランスを保つために、足に余計な力が入ってしまいます。
8.重いシューズは筋肉に負担がかかる
動作に余分な負荷がかかり、足の筋肉を硬くします。
9.引っかきの強いスパイクシューズは抵抗が強く筋肉に負担をかける
スパイクシューズのピンは、「地面を引っかく」ためのものではなく、「滑り止め」として使うことが本来の目的です。引っかきの強すぎるピンは、走りやすそうなイメージですが、余計な力が入ることで、筋肉に多大なストレスを与えます。
あなたの靴は大丈夫?
以上がシンスプリントになりやすい靴の特徴とその理由です。もし、あなたがこうした靴を履いているなら、今は症状がなくても発症する可能性が上がってしまいます。普段の練習の時から、ちゃんと自分に合った靴を履くことをオススメします。
それでは早速、シンスプリントの予防や再発防止に役立つ靴の選び方をご紹介します。
2.シンスプリントを防ぐ靴の選び方
それでは、シンスプリントの予防や再発防止に最適な靴とはどのようなもので、どのように選べば良いのでしょうか?
ポイントは3つあります。
- シンスプリントに効果的な靴の特徴
- 試着時の動作確認
- 靴の価格帯
早速一つ一つご紹介します。
シンスプリントに効果的な靴の5つの特徴
これからご紹介する靴選びの「5つのポイント」は、「スパイク」、「競技用」、「普段使い用」など、全ての靴に当てはめることができます。
1.靴底に「適切な傾斜」がある靴で、足の動きをスムーズにするもの
かかとの角度は、高すぎても、低すぎても、足には負担がかかります。
赤いラインをイメージして、かかとの角度をチェックしてください。そして、「青いライン」の範囲で、かかとに向かって緩やかな傾斜がついている靴が理想的です。
かかとに適切な傾斜がついている靴は、かかとの着地がスムーズで、歩く、走る、跳ぶなどの動きがスムーズになり、足への負担が減ります。
(画像:http://www.bemoloshop.com/bemolo.html)
2.かかとに負荷をかけない、シンプルな形のもの
かかとに厚みのある靴は、衝撃をかかとで吸収してしまうので、足先への自然な流れが、かかとでストップしてしまい、余計に力が必要になります。
かかとの衝撃をスムーズに足先に逃がせるように、シンプルなかかとの形を選びましょう。着地の際の無駄な接地面をなくすことで、足への余計な負担も減ります。
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3.足が安定するように、かかとにホールド感があるものを選ぶ
はじめに着地するかかとが安定していないと、全ての動きがぶれてしまい、足全体に負担がかかります。試着の際に、かかとのホールド感を意識しましょう。
ゆるすぎず、きつすぎず、あなたのかかとにしっかり合ったものを選びましょう。
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4.足の動きを妨げない、ソフトで柔らかい靴の素材を選ぶ
硬い素材で足を覆ってしまうと、足の動きを妨げます。じつは足の異常は、靴を履く習慣がある先進国に多くみられます。はだしで歩いている先住民たちは、毎日水を汲むために何キロもの距離を歩いていますが、足の不調を訴える人はいません。足本来の動きを邪魔しない、ソフトな素材を選びましょう。
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5.安定して歩けるように、靴底の素材は柔らかすぎないものを選ぶ
靴底の柔らかい靴は、砂浜の上を歩いている時の感覚と同じで、バランスを保つのが難しくなります。バランスがしっかりとれる、柔らかすぎない靴底を選びましょう。
そして、滑りやすい靴底も、足に余計な力が入ってしまいます。
靴底は、「滑りにくさ」と、「適度な柔らかさ」を意識しましょう。
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靴を試着してチェックしておくべき2つの動き
以上の5つのポイントを参考に、いくつか条件に合いそうな靴をピックアップしてみましょう。
そして、試着時に2つのチェックをしてみてください。
体に負担のかからない靴をはくと、体の動きがスムーズになり、腕は上がりやすく、前屈もしやすくなります。今までの靴と試着する靴で、この動きを比べてみて、動きがスムーズになっていれば、理想的な靴といえます。
- 両腕を上げる
- 前屈をする
もっともスムーズに動作が行えるものを選びましょう。
安い靴でも、ポイントさえつかめていれば最高の靴になる
こんなイメージを持ってはいないでしょうか。
×値段の高い靴がいい
×自分の足に合ったオーダーメイドの靴がいい
じつは、高い靴でもオーダーメイドの靴でも、ケガをする人は少なくありません。足に負担をかけない靴を選ぶことができれば、安い靴でもケガとは無縁の生活をしている人がたくさんいます。
靴は値段ではありません。「5つのポイント」と「履き心地」で、あなたにとって最高の靴を選びましょう。
3.普段の練習から筋肉を意識しよう
シンスプリントの予防で大切なことは、靴選びだけではありません。
筋肉を硬くする靴を履いても平気な人は、筋肉に負担をかけない走り方や、練習方法が身についています。逆に、どれだけ最高の靴を選べても、筋肉を硬くする走り方や、練習方法をしていれば、シンスプリントは治りにくくなります。
痛みを我慢しながら走り続けるのは、とても悔しいですよね。
オーバートレーニングや練習方法にも注意して、筋肉と正しく向き合うようにしましょう。そのためにもぜひ、この記事が役に立ったなら嬉しく思います。
もうシンスプリントが治っていて再発防止を行っていきたい方は、ストレッチとは別に「もう2度とシンスプリントを再発させないための10の予防法」の(シンスプリントを何度も再発してしまう人の10の要素)を確認しておきましょう。再発する確率を格段に減らすことが出来ます。