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やっと、すねの痛みがおさまったのに走りだすとまた痛みが戻ってきてしまう。治しても「また、痛くなるんじゃないか」と不安で全力で走ることもできない。このままだと思うような結果が残せないまま引退してしまうのではないか?もう、シンスプリントを再発させたくない・・・
あなたは、そんな悩みがあるのではないでしょうか?
確かにシンスプリントは再発が多い症状と言われています。ただ、それはシンスプリントに対する正しい理解と正しい予防法を知らないためです。シンスプリントは、正しい予防法をおこなえば再発することはほぼありません。
私は多くのシンスプリント患者を見ていく中で、シンスプリントを何度も再発してしてしまう人には10つの要素があることがわかりました。
今回は、その要素と改善方法をお伝えしたいと思います。今まで、自分が信じてやってきたこととは、全く違う内容のため信じられなかったり、驚きもあると思います。しかし、今まで色々な予防策をしても効果が無いのであれば、必ず、役立つことが出来ると思います。
ぜひ、この記事を参考にして思いっきり走れる喜びを噛み締めてください。
1.予防の第1歩は、シンスプリントになった本当の原因を知ること
あなたはなぜ、シンスプリントになってしまったと思いますか?もし、「使いすぎ」「筋力が無いから」「初心者病だからしょうがない」と思っていたら間違いです。
よく言われる原因が「使いすぎ」ですが、使いすぎていてもシンスプリントにならない人はいます。「筋力が無いから」「初心者病だからしょうがない」と思っていてもトップレベルで活躍している選手にシンスプリントが起きているのが現実です。
本当の原因を知らなければ病院の先生に言われたこと、インターネットに書いてある一般的なことでしか予防できません。しかし、正しい原因がわかれば、自分でどう予防すればいいのかがわかってくるのです。では、さっそく本当の原因を見ていきましょう。
シンスプリントの本当の原因は、「硬くなった筋肉」
シンスプリントは「すねの骨の内側や外側」が痛む症状ですが、すねの周りには「ヒラメ筋」「腓腹筋」「前脛骨筋」などさまざまな筋肉が付着(筋肉が骨に付いている)しています。
例えば、「ヒラメ筋」は、走ったり、歩いたり、ジャンプをする時によく使う筋肉なのですが、その動作をするたびに強くぎゅ!ぎゅ!と緊張をして、すねの骨膜(骨膜とは、骨をおおっている膜)をひっぱります。この緊張が強く起こり、引っ張り続ける状態が続くと引っ張られている骨膜が耐えきれずに炎症が起き、痛み始めると言われています。これがシンスプリントになる本当の原因です。
難しい説明になってしまいましたが、「シンスプリントの原因は硬くなった筋肉」だと理解していただければ結構です。
ではなぜ、あなたの筋肉はシンスプリントにならない人よりも硬くなってしまうのでしょうか?詳しくは、下記の記事の(シンスプリントの痛みを起こす筋肉を硬くする6つの要因 )を参考にしてください。
シンスプリントを予防するためには、「筋肉が硬くなる」ことを防ぐ必要があるのです。
2.シンスプリントを何度も再発してしまう人の10の要素
シンスプリントを何度も再発してしまう人には、どうやら10の要素があることがわかりました。全て、シンスプリントに原因となっている筋肉を硬くしてしまう要素です。これらを1つ1つ見直していくだけでシンスプリントの予防になります。
1.練習後にアイシングをしている
シンスプリントの予防で最もポピュラーな予防法です。病院でも「冷やしてください」と言われます。しかし、「毎日アイシングを欠かさずおこなっているのに再発してしまいます。」というシンスプリント患者さんが非常に多いことに疑問を持ちました。
アイシングの目的は2つあります。
- 冷やすことで炎症・内出血を抑える
- 反熱作用(一時的に冷やすことでその後暖かくなる人間の体の反応)を使った血流促進
この2つです。
患部が内出血を起こし、腫れてズキズキ痛むときにはアイシングは有効ですが普段のケアとして行う必要はありません。また、反熱作用は、血流の促進効果が目的です。であれば、冷やさずはじめから温めたほうが効果的です。
冷蔵庫にお肉を入れているとどんどん冷やされてお肉は硬くなっていきます。自然解凍しなければ柔らかくなりません。これと同じくアイシングをすると筋肉は硬くなります。冷やせば冷やすほどシンスプリントの原因である筋肉の硬さを悪化させることになるのです。これを考えるとシップもやめていおたほうがいいでしょう。
ポイント1.患部は、冷やさずに温める
2.テーピングで予防している
テーピングは、予防に使うものではありません。「どうしても」という時に使う補助です。テーピングが予防に使われ始めたのには理由があります。「治療してもらった感があるからです」
「子供が痛いと言って保健室に来ると、テーピングをします。すると、安心して喜ぶのです。」ある学校の保健室の先生のお話です。テーピングを貼ることで満足感が出るためテーピングをしているのです。
テーピングを巻いていないとシンスプリントが起きてしまう状態はおかしいのではないでしょうか?テーピングは、予防に必要ありません。
ポイント2.テーピングはしない
3.サポーターをつけながら練習をしている
サポーターも予防に使うものではありません。サポーターを長く使用するとサポートされていることに体がだんだんと慣れてきます。サポーターをずっと使用していると効果が薄くなるのは、筋肉の機能がサポーターに依存してきている証拠なのです。
サポーターをつけた状態でトレーニングを続けると筋肉はどんどん退化していきます。サポーターは、本当に必要な時にだけ使うようにしましょう。詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
シンスプリント用サポーターの選び方と知っておきたい3つのポイント
ポイント3.サポーターは付けない
4.強い力でマッサージをしている
これは、やり方によっては、良い効果があります。しかし、多くの方は指でぎゅうぎゅう、すねの筋肉を押して柔らかくします。筋肉は、ぎゅうぎゅう押すと一時的に血流の流れが良くなり、効いている気がしますが身体は本能的に「攻撃だ」と危機を感じ、身体を固めます。マッサージのような押される刺激の場合、私たちは全身にある筋肉を鎧のように固めて押されて痛い!という刺激から身を守るのです。結果、筋肉を硬くしてしまいます。
もし、マッサージをおこなうのであれば、下記の記事の(2.シンスプリントのマッサージ効果を上げるために気をつける2つのこと)を参考にしてください。
シンスプリントのマッサージ効果を上げるために気をつける2つのこと
ポイント4.マッサージは優しい力でおこなう
5.ストレッチの方法が間違っている
ストレッチのやり方によっては、筋肉を硬くしてしまう可能性があります。グイグイ伸ばした方が効きそうですが、過度なストレッチは、マッサージと同じように体は攻撃だと感じ筋肉を硬くさせてしまいます。
ストレッチをする際の強さは、「すこし突っ張ってきたかな」くらいがベストです。
ストレッチしてほしい箇所はこの3箇所。
- ふくらはぎ
- すね
- 足首と足の指
これらの筋肉を柔らかくするとシンスプリントの予防に効果的です。足首や足の指は、あまりケアをしていないのでは無いでしょうか?足首と足の指は、ふくらはぎへの衝撃を吸収する役割もあるため柔軟性を高めておかないとふくらはぎへの衝撃が強くなりシンスプリントに原因にもなります。詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
痛み解消!もう繰り返さない!シンスプリントに効く3つのストレッチ
ポイント5.シンスプリントに最適なストレッチをおこなう
6.シューズにインソールを入れている
シンスプリント予防のためインソールを入れている人多いですが、インソールは必要ありません。シンスプリントの予防として発売されている商品は大きく分けてこの2つです。
- クッション性の高いインソール
- アーチをサポートするインソール
「クッション性の高いインソール」は、良さそうに思いますが実は、筋肉を硬くする効果もあります。例えば、平らな場所で運動した時よりも砂浜など足場が柔らかいところで運動をしたほうが足が早く疲れます。これは、体が倒れないように足首、ふくらはぎなどの筋肉が無意識にバランスをとっているのです。
クッション性が高いインソールには衝撃吸収材が入っているため、ふかふかの状態がくつの中で作られるのです。すると、足場が悪い場所で運動する時のように無意識にバランスを取り、筋肉が疲労しやすくなるのです。
また、シンスプリントは、足の裏のアーチの低下(偏平足)でも発症すると言われています。足の裏のアーチが低いためランニングなどで硬い地面の上を繰り返し走ると脛骨に直接負荷がかかるため、シンスプリントが起きるという原因はよく言われています。
出典:http://ameblo.jp/supporters-hirano/entry-11382581938.html
そのため、アーチの部分にインソールを当ててアーチを無理やり高くするものが「アーチをサポートするインソール」の役割です。しかし、シンスプリントの原因は、アーチだけではありません。実際、アーチが低くてもシンスプリントにならない子はいます。
インソールを使っているとサポーターと同じく足の裏の機能がどんどん失われて行きます。インソールも使用は控えましょう。詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
ポイント6.シューズにインソールは入れない
7.シューズのクッション性が良すぎる
インソールでお話したようにクッション性のいい靴もおすすめはできません。おすすめの靴は、出来るだけ靴底が平らなシューズです。下記の記事で正しい靴の選び方を紹介しています。参考にしてください。
スポーツ選手必見!シンスプリントを予防する靴の5つの特徴と選び方
ポイント7.シューズを見直してみる
8.練習の中にシンスプリントを悪化させる原因が潜んでいる
■練習メニュー
ジャンプ系のトレーニングが多い
- ハードル・ラダー
- バービー
- バウンディング
ダッシュ→ストップを繰り返す練習が多い
- シャトルラン
- 体育館での練習
ジャンプの連続や急な方向転換をする練習はすねへの負荷が大きくなります。シンスプリントが治ったばかりの時は、出来るだけ控えるようにしましょう。
■練習環境
グランドが整備されていない
整備がされていない練習環境では、足場が悪く怪我が起きやすくなります。自分の練習環境を見直してみましょう。
アスファルトなど固いところでの練習が多い
硬い路面での練習は、足へのダメージが大きくなります。芝生や土のグラウンドなどで練習していくことをおすすめします。どうしてもアスファルトでしか練習ができない場合は、ストレッチと練習後のケアを入念に行いましょう。
シンスプリントの時でも出来る!柔軟な筋肉をつける初動負荷トレーニング
メジャリーグ(野球)で大活躍をしてるイチロー選手はご存知でしょうか?おそらく大半の人が知っていると思います。イチロー選手がそれだけ有名なのは、偉大な記録を叩きだしてきたからです。さらにすごいのはその大記録を毎年出し続けていること。
イチロー選手は、大きな怪我をしません。普段から体のケアをおこたらないからです。
そのイチロー選手が取り入れているトレーニングがあります。初動負荷トレーニングと言います。このトレーニングは、柔軟性があり、軽い力で動かせる筋肉をつけることが出来ます。どんどんパフォーマンスが上がっていくことを実感出来るでしょう。
もし、どんなトレーニングをすればいいかわからないと悩んでいるのなら、取り入れてみてください。
詳しくは、初動負荷トレーニング公式HPを参考にしてください。
ポイント8.練習を見直す
9.周りからのプレッシャーにおされてすぐに練習をはじめてしまう
監督や周りのチームメイトから
- 練習を休みたいから大げさに言っているんだろう。根性のない奴だ。
- 練習を始めて間もないのだから痛くなるのは仕方ない。
- 練習をして体が鍛えられると自然と治る。
と言われるのでまだ、治っていないのに練習を始めたり、
- 筋力が弱いから痛くなるんだ。筋トレをして鍛えなければならない。
- 先輩もケガをしながら練習をしているのに、休みたいなんて言えない。
- 休んでいたら、監督からの評価が下がって、周りに差を付けられて、レギュラーに入れなくなってしまうから休みたくない。
- どうせ休んだって、練習を再開したら、元に戻ってしまうんだから、上手に付き合っていく方がいい。
と自分の中に言い聞かせて練習をしている人は、シンスプリントの痛みが消えません。これは、再発とは言いませんが「もう少ししか痛くないから大丈夫」と焦ってスポーツを始め、痛くなり「再発した」という人が多いです。
監督や周りのチームメイトに自分の状態を話す勇気、休む勇気を持ってください。
ポイント9.周りの人に自分の状況をしっかりと話して完全に痛みが取れるまで練習を休む
10.「シンスプリントが治った」と勘違いをしている
シンスプリントの痛みが何度も戻ってしまう多くの方がしている「間違い」があります。それは、「シンスプリントが治った」と思う間違いです。
どういうことでしょうか?
「痛みがなくなった=治った」では、ないということです。「痛みがない=痛みを感じなくなった」といっても良いかも知れません。しかし、これはまだ治ってはいないのです。
最初に「シンスプリントの原因は筋肉の硬さにある」とお伝えしました。シンスプリントを完全に治すためにはシンスプリントを引き起こしている原因を完全に治さなければ、再発してしまいます。「痛みがなくなった=痛みを感じなくなった」時点では、原因の筋肉が硬くなっている可能性があります。しかし、多くの人はここで「痛みがない=治った」と思いスポーツを始めます。すると、原因の筋肉が硬いままなのですぐに痛みが戻ってしまいます。
これが、何度もシンスプリントを繰り返す人のパターンです。
さらに恐ろしいのは、この間違いを知らずに再発を繰り返しているとどんどんシンスプリントは治りづらくなっていきます。自分は走ってもいいのか?の判断は、プロの診断を受けてください。
自分で復帰時期を判断する方法
理想は、プロの先生に体の状態を診てもらい、復帰していくことです。しかし、4つのポイントを抑えるだけで自分自身でも復帰出来るかどうかを判断することが出来ます。
復帰判断4つのポイント
- 痛かった場所を押しても痛くない
- 試しに走ってみても痛くない
- 3つのストレッチが楽に出来るようになってきた
- 動いてみても痛くなりそうな感じがない
これら、4つが全て当てはまったら、少しずつ練習に復帰していきましょう。「少しずつ復帰」が再発しないためにもっとも重要です。
痛みがとれた嬉しさからついつい練習してしまいがちですがここを我慢しないとまた、痛くなります。また、痛くなりそうだと思ったらすぐに練習をやめてください。自分の体のことは自分が一番よく分かるはずです。復帰する時は、また、痛くなるのではないか?という怖さがあります。怖さに慣れる意味でも無理をしないで復帰していきましょう。
ポイント10.痛みがとれたからと言ってすぐに運動を始めるのではなく、復帰時期を見極める
シンスプリント予防方法のまとめ
- お風呂でゆっくりあたたまる
- テーピングをやめる
- サポーターをやめる
- マッサージをするなら、優しい力でおこなう
- Zigen流シンスプリントストレッチをおこなう
- インソールをやめる
- シューズを見直す
- 練習内容を見直して、初動負荷トレーニングで筋力の柔軟性を作る
- 周りの人に自分の状況を話して完全に痛みが取れるまで練習を休む
- 痛みがとれたからと言ってすぐに運動を始めずに、復帰時期を見極める
あなたは、シンスプリントが何度も再発してしまい落ち込んでいるのかも知れません。しかし、その経験をしたことで誰よりもケアの大切さを知ることが出来たと思います。それは、苦しんだあなたにしか学べないことです。ケアの大切さは、競技のレベルが高くなればなるほど重要になって来ます。その大切さに気づくきっかけになったことは、これからの競技をやっていく中で必ず、プラスになります。
この経験を生かして、あなたが今まで以上に活躍することを願っております。